よろずやを開業します。『よろずや』の名の通り、日々の出来事、風景、趣味etc… なんでも書いていきます。

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20061017172130
『あ〜あ、今日の給食サバの文化干しかぁ〜。魚嫌いなんだよね。骨取るのも面倒くさいし…』
そんなことを言いながら、ぼくはだらだらと通学路を歩いていた。『にゃに?サバの文化干し?それは大好物にゃ。なんなら今日一日だけ入れ替わるにゃ?』
道端の猫がにやりとした。 
2006/10/17 17:21|短編童話TB:0CM:0
キンモクセイの花が咲くたびに、今でも思い出すことがある。
ぼくがまだ小学四年生で、妹が五才の時だ。
庭で母さんが洗濯物を干していた。妹は縁側に座って、お手玉をしていた。
ぼくは庭でかまきりを捕まえ、いつものように妹を驚かそうと企んでいた。でもその時、急に風が吹いて、ぼくの鼻に甘い香りを感じた。それは庭先のキンモクセイの花の香りだった。ぼくはかまきりをほっぽって、キンモクセイの木に近付いた。淡いオレンジの小さな花が、いくつも咲いていた。ぼくはそれをいくつか手のひらに落として、鼻を近付けスーッと息を吸い込んだ。なんとも言えず嬉しい気持ちになった。ぼくは、その香りが消えないように反対の手でそっとふたをすると、急いで妹のいる縁側に走っていった。
妹の前でそっと手を開くと、妹の顔はキンモクセイの花みたいに、ぱぁっと明るく開いた。
『かいでごらん。』
妹の顔の近くまで手をあげると、妹はその小さな鼻をヒクヒクさせながら、一生懸命香りをかいだ。
『にいちゃん、とってもいい香り。』
妹の笑顔が真っ直ぐにぼくを見つめた。すると洗濯物を干していた母さんが、仕事の手を止め、
『あら優しい兄ちゃんやね。よかったね。』と、ぼくのいがぐり頭をなぜた。ぼくは恥ずかしくて、照れくさくて、キンモクセイを妹の手に押しつけると、庭から走って出てしまった。
道端にでながら、ぼくは母さんの手を思い出していた。すべてのことを包み込んでくれる暖かい手だった。

大人になった今でも、キンモクセイの香りをかぐと、あの時の妹の笑顔と、母さんの手を思い出す。そして幸せな気持ちになる。 
2006/10/16 21:48|短編童話TB:0CM:0

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